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Part.5 最高師範にはつっこむな!の巻

~指導者講習会(稽古)外伝その2~

初日の講習会(稽古)が無事おわり、最高師範を深川の道場から池袋のホテルメトロポリタンまで(通常、車で40分くらい)直井先生の車で一緒に送って行く。直井先生が運転席、助手席に最高師範、自分は後部座席に乗り込むと、直井先生の車の話題になった。

(最) 「直井、この車いい車だな。」

(直) 「オッ、オス。」

直井先生の車はあの超有名な超高級外車のSUVであった。最近同じメーカーの最新型に買い換えたらしく、まだ新車同様ピカピカであった。

直井先生は、四角い大きな顔に似合わず器用な人で青年実業家の一面も持っている。マンション経営やら、株やらいろいろやっているらしくお金も相当持っていそうである。(ちなみに今回稽古がおこなわれた場所も直井先生所有マンション一階の超豪華な道場である)その関係なのか、なぜかいつ会っても白のカッターシャツにスラックスというフォーマルな服装をしている。いつもボロボロの格好をしている自分とは大違いである。一見するとやり手のビジネスマンのようにも見える。

(最) 「この車いくらするんだ?」

​(直) 「いろいろ値引きしてもらって850万くらいです。定価は1000万くらいするんですが、値引きしてもらって850万くらいです。」

(自分の心の声) 【えー!値引き額だけでオレの車が何台買えるんだ?1台?2台?3台?こんど財テクの仕方を教えてもらわないといけない】

(最) 「んで、この車どうなの?」

(直) 「ちょっと壊れた所があって最近直したところです。警告ランプが勝手に点いたりして修理に出して、戻ってきたと思ったらまた同じ所が壊れて、それが4回くらい続きました。」

(最) 「だろ~。やっぱりね。」「車は​、あっ、アレだ~ 『ラクセス』がいい、『ラクセス』はこわれないよ。うちなんかアレだよ、全部『ラクセス』に替えたんだから。」

​(心の声) 【へ~、そうなんだ。自分そんなに車に詳しくないのでわからないが、『ラクセス』って車があるんだ。ぼくは聞いたことないけど外国の車なのか、もしくはアメリカとか外国向けに造っている車なのかな?】っと思いながら後ろの後部座席で二人の会話を静かに聞いていた。

知らない人のために補足説明をしておくと最高師範はアメリカのアラバマ州に住んでおられる。

(直) 「自分もこの車に替える時に『レクサス』も考えたんですが、この車最新の安全装置がついているし値引きしてくれるって言うので。」

​(心の声) 【ん?トヨタの超高級車『レクサス』のことだったのか。どおりで聞いたことない車だと思った。それにしても直井先生はなぜすぐに『レクサス』のことだと分かったのか?意外とカンがいいのかも・・・】

(最) 「いや、やっぱり『ラクセス』だな!おまえも『ラクセス』にしたらいいよ。」

(心の声) 【ん?『ラクセス』?イヤ、やっぱり『レクサス』だよな。】

(直) 「オッ、オス!『レクサス」いいって聞きますね。」

(最) 「ウン、『ラクセス』が一番だよ。」

(心の声) 【ん?『ラクセス』と『レクサス」いったいどっちが正しいのか?イヤ、やっぱり「レクサス」に違いない、ウン。】

しばらくこの話題で走っていると

(最) 「おまえ、この道、なんか違うよ。」

(直) 「オッ、スゥ~あの~、ナビがこの道指していまして・・・。」

(最) 「おまえ、ここ左だよ!」

(直) 「オッ、スゥ~いやあの~​ナビが真っ直ぐになってまして・・・。」

(最) 「ここも、違う!」

(直) オッ、スゥ~・・・」

(最) 「・・・・・」

(直) 「・・・・・」 

(最) 「このナビおかしい!壊れてる!こっちじゃないです!あっちが正解です!」

(直) 「オッ、ゥ~​・・・」

(心の声) 【おっ、直井先生もぼくのブログPart.1「押忍!を使いこなせ!」を見て勉強してくれたのか困った時の押忍を使っている、イヤ使いこなしている。】

(最) 「ほら、ここも、こっちじゃない!」

(直) オッ、ゥ~​・・・」

 

このやりとりを聞きながら、後部座席でおとなしくしていた自分は、心底、自分運転じゃなくて良かったと思った、のは想像に難くない。

しばらく走るもなかなか着かない。もうとっくに40分は過ぎていた。

(最) 「やっぱりこの道じゃないよ!このナビおかしい、こんなナビ捨ててしまえ!」

(直) オッ、ゥ~​・・・」​  もう、直井先生泣きそうである。

(最) 「なぁ、テル!」

​(自分) 「オッ、オス!」

(心の声) 【ここでぼくですか~、でも捨てるならぼくにください。ナビだけでぼくの車買えそうだし・・・】

(最) 「やっぱり『ラクセス』だよ!車は!」

(直) 「オッ、オス、やっぱり『ラクセス』ですか。」

(心の声) 【え~、直井先生まで『ラクセス』になっちまったよ。もうオレも『ラクセス』でいいや。】

(最) 「もう、こんな車、テルにあげておまえも『ラクセス』にしろよ!なぁ、テル!」

(直) オッ、ゥ~​、『ラクセス』ですか・・・」

​(自分) 「間違いないっす!『ラクセス』です!」

 

​もうこうなっては空手の世界では『レクサス』はこの世に存在しない、いや存在してはいけないのだ!!最高師範が『ラクセス』って言ったら『ラクセス』なのだ!

結局1時間以上もかかってやっと池袋のホテルメトロポリタンに到着する。通常だとこの後、最高師範のマッサージをするのがお決まりのコースなのだが、なぜかこの日は「お前たち、もう帰っていいぞ!」っと帰るお許しがでた。

​道場への帰路、直井先生にいろいろ財テクの話しを聞きながら帰る。ひょっとして空手より財テクの方が詳しいのではないかと思うほど細かいことまで教えてくれる。いや失言しました、空手も当然詳しいです。

次の日、二日目の稽古も無事(最後に怒られたけど)終わり、昨日と同じく最高師範を池袋のホテルまで送っていく。今回は昨日と違い石川先生の車で、石川先生運転席、助手席に最高師範、後部座席にぼくとマサ師範が乗る。

またまた車の話題になった。

(最) 「昨日な、直井の車のナビがぜんぜん違うんだよ。あれはダメだな。やっぱり車は『ラクセス』だよ。」

ぼくは昨日のことで『レクサス』のことだと知っていたので、石川先生、マサはどんな反応をするのかひそかにうかがっていた。

(石) 「オッ、オス、『レクサス」はいいですね。」

(心の声) 【え~!ウソだろ~、なんですぐにわかったんだ~。素直に感心してしまった。】

マサも別に何の反応もなく、なにごともなかったかのように聞いている。やはり大山空手の高弟達は只者じゃない。こういう状況にも慣れているから一切動じることはない。

(最) 「『ラクセス』は全然こわれないからな、うちは全部『ラクセス』だよ。」

(石) 「いや~、『ラクセス』は最高ですね。」

​(心の声) 【は~!マジで!もう『ラクセス』になっちゃったよ。さすがは石川先生、直井先生よりもっと適応が早い。】

(最) 「なぁ、マサ!」

(マサ) 「オス!」

マサにいたっては、もう『ラクセス』しか存在していないかのような返事である。

​このやりとりを聞きながらやっぱり大山空手の高弟達はすごいなと思った。誰一人として「最高師範、『ラクセス』じゃないです!『レクサス』です!」とつっこむ人はいなかった。いや、むしろ『レクサス』の方が間違っていると言わんばかりの変わり身の早さである。

ぼくは、あまのじゃくなので、よっぽど「最高師範!『ラクセス』じゃなくて『レクサス』です!」と言いそうになったのだが、のどの奥まで出かかって寸での所で思いとどまった。書いていて思ったのだが、ぼくのこういう所が「最高師範を怒らす天才」と言われる由縁なのかもしれない。要するに一言多いのだ。反省。

​さすがは石川先生、最高師範が日本へ来るたびに送り迎えをしているだけはある。ナビなど見なくても小道、裏道を駆使して混雑している大通りを横目にスイスイ抜けていく。あっという間に昨日の半分くらいの時間で池袋のホテルまで着いてしまった。

さて、今回は何が言いたいかと言うと。大山空手の門下生は、よく覚えておいてほしいのだが、最高師範が言い間違えたり、失言したりしても、けっして・絶対につっこんではいけない。少なくとも三段以上にならなくては、ちょっともつっこんではいけない。ぼくも四段くらいになってから少しずつ、つっこみも許されるようになってきた。いや、ただ単に最高師範が年を取って優しくなっただけといううわさもある。ただ、油断は禁物。口は災いの元。余計なことは言わないほうが無難である。間違ってもぼくの真似はしないように!めちゃくちゃ怒られます!このブログも毎回ビクビクしながら書いています。幸いなことに、運が良いのかブログに関しては今の所おこられていません。

​「押忍! 最高師範、今回も失礼しました!」

「オース オスオスオスオスオス​!

PS. 「あ​の~、直井先生、車はいつ取りに行ったらいいでしょうか・・・?」「ナビだけでも、もらっときます。」「最高師範、言ってたし・・・​」最高師範の命令は絶対だし・・・・

 

PS. 直井先生!道場から池袋のホテルまでの最短の道を石川先生に聞いといた方がいいと思うんですけど・・・。

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